「分析力を武器とする企業 強さを支える新しい戦略の科学」を読みました。「統計学が最強の学問である」よりも、よりビジネス寄りの視点で書かれています。
本書の中で繰り返し述べられておりますが、「分析は行動に結びついて初めて意味をもつ」事は大変重要な事ですが、分析力を企業の武器と考えるCEOは増えており、今後も増えていくことは間違いないでしょう。
それは調査や報告から予測モデリングへと繋がる事で競争優位性を高めることが出来る事がDELLをはじめ、過去の事例から学びはじめているからでしょう。
分析力を武器とするまでに企業は以下の5ステージ存在すると筆者は述べます。
現在武器としている企業の数は非常に少ないわけですが、各ステージにおける企業の特徴と、ステージを上がる実例も掲載されています。特にステージ1やステージ2の企業に関しては、分析を重んじる力を持った人が入社することによる大きな変革というパターンと各部門という小さな単位での成功体験から初めて変革を行っていくという2パターンが存在します。
5にあたる分析力を武器としている企業については以下4つの特徴がみられる
1.「わが社はこれで行く」という戦略上の強みが分析力をベースにしたものである
2.データの管理・分析が前者で統合的・統一的に行われている
3.経営幹部がデータを重んじ分析力の活用に熱心である
4.分析力を競争優位にする戦略に社運を賭けている
この段階へどのようなツールを用いて、どのような視点をもつべきなのか。それが各企業の事例からヒントを得ることが可能でしょう。
もちろん、企業のイシューとなる企業業績に直結するような指標に関しては明確なはずではあるのですが。。。
Googleの場合は検索結果の関連性・適格性について独自指標を創りだしており、検索結果に満足できず改めて別の検索語が入力された回数、検索結果のページからリンク先へジャンプした回数、検索結果から更に絞込を行った回数、検索にかかった時間などの時間を自動収集しているという事が書かれていますが、これは大体Google Analyticsでも見える項目になっており、一般企業が同様の分析指標をもつことは可能でしょう。
一方で本書には書かれていませんが、分析を企業の成長につなげる事だけでなく、ライフログが流行る現在では、そのデータを頂いて、ユーザーへ分析結果を即時フィードバックしていくことで新たなサービスを生むことも出来るわけです。
分析が必要とされる場面は従来とは比べ物にならない程増えてきていますが、最後にバンク・オブ・アメリカのバーバラ・デソーの入門企業向けの言葉を紹介します。
「まずは自己評価から始めること。自社の目標あるいは顧客の要望と現状とはどの程度開きがあるのか、把握することから全ては始まる。欠けていることがあるとわかったら、どうすればいいのか考える。それをしないでデータ・ウェアハウスやら分析ツールやらに手を出しても、何の意味もない」
(個人的メモ)
145、166、185、260