Google Tag Managerで同意モードの国指定granted設定

 GDPR等に関連してCookie等によるトラッキング許諾をCookiebot等の同意ツール(CMP)を利用されているパターンも多いかもしれません。今回はウェブサイトに同意プロンプトを出すのではなく、日本以外はトラッキングを拒否、日本ではトラッキングを許可する方法としてGoogle Tag Managerのテンプレートからsimo ahavaさんのConsent Modeを利用してみます。


このテンプレートは、Googleのオフィシャルページで紹介されているカスタムテンプレートコードとは少しコードが異なりますが、デフォルト設定もアップデート設定も可能なものとなっています。

同意タイプについては、いくつか種類があります。

  • ad_storage
  • analytics_storage
  • personalization_storage

広告、トラッキング、レコメンドに関連するストレージなどを、それぞれ設定することができます。

※以下の内容は検証内容も含め、この設定で問題ないだろうと判断していますが念のため、各個人でも検証をお願いします。

■今回のゴール

日本以外からアクセスされた場合はトラッキング等のストレージを一切拒否、日本からアクセスされた場合のみトラッキング等を可能とする

■事前設定 - テンプレートをインストール

まずはGoogle Tag Managerのテンプレート画面、検索ギャラリーからConsent Mode(Google tags)のテンプレートを追加します。


「ワークスペースに追加」で追加することができます。



■対応内容1 - Google Tag Managerの既存タグ設定

Google Tag Managerで設定しているタグなどについては、個別に「同意設定」を行う必要があります。(Google AnalyticsやGoogle Adsタグ等、事前にGoogleが用意しているタグについては設定不要)

各タグの「詳細設定」から「同意設定(BETA)」を設定します。


設定すると次のように見えます。以下は広告系のカスタムHTMLだったのでad_storageを設定しています。

■対応内容2 - Google Tag Managerの同意設定

新規にタグを作成し、ギャラリーで追加した「Consent Mode」テンプレートを指定します。

タグの設定で、日本だけは許可(granted)でその他の地域は拒否(denied)設定にするにはこんな感じの設定をします。


配信トリガーは同意の初期化という専用のトリガーを利用します。


■(Option)対応内容3 - Google Analyticsの地域とデバイスのデータ収集などチェック

必要な場合はGoogle Tag Managerではなく各ツール側でなにか追加で設定を行ったほうが良い場合もあります。


<検証1>同意タグの配信チェック

同意タグが配信されていて「Consent」表示がされていることを確認しましょう。


Consentタブに同意状況が表示されますが、上の画像のように「Consent」が2つあります。これはタグ設定でJP指定のタグとそれ以外のタグの2つが設定されているためです。

各Consentタグでは1つはdenied設定、もう一つはgranted設定が表示されます。



<検証2>同意設定が適切であることの確認

日本からアクセスした場合は「Set」でgrantedとなります。


海外経由でアクセスした場合は「Set」でdeniedとなります。


<検証3>海外経由アクセスで特定のタグが配信されていないことの確認

日本からアクセスした場合に発火するタグの数は7個。


海外経由でアクセスした場合に発火するタグの数は5個。


これは各個別のタグの同意設定、追加同意を指定しているためです。

以上が設定となります。海外経由アクセスはプロキシを今回は利用しましたがVPN等、お持ちのものを利用してみてください。Googleの公式ドキュメントでデバッグ方法が記載されているのですが、国指定設定をしている場合など細かい部分が分からないということと、検索してみてもコレというドキュメントがなかったので、設定後も少し不安でした。

検証した感じではうまく動いているようなので、一旦こちらの設定で完了としています。

GA4のレポートを積極的に活用したいなら「「やりたいこと」からパッと引ける Googleアナリティクス4 設定・分析のすべてがわかる本」がオススメ

 今月発売された「「やりたいこと」からパッと引ける Googleアナリティクス4 設定・分析のすべてがわかる本」を読みました。

GA4が旧UAのセッション単位分析からユーザー単位に変わることでのメリットやすべてイベントでのデータ取得となったことによる概念統一等、変化によるメリットにも言及されています。

なかでもレポートの有用度、利用頻度を可視化していることによって、デフォルトのレポートで、何を見ればよいかだけでなく、見方や分析の仕方等、活用面にも多く触れられている点はとても良かったです。

何ならGA4の試験対策として活用してみても良いのではないか?と思った次第です。

また探索レポートで利用する「セグメント」の説明も充実している点で、WEB・アプリ分析時に多く利用・活用するであろう「セグメント」の設定について理解を深められるという実践的な面でオススメです。

【本の内容補足】

  • レポートのother表示に関しては200万行の話とは別に「高基数ディメンション」概念が存在するので注意
  • User IDやタイムスタンプ、ClientIDなどで、カスタムディメンションを利用するのはベストプラクティスで否定されているので注意
  • 自動収集イベントのpage_locationはページパスではなくFull URLであるので注意
  • パラメータ無しのURLはカスタムHTMLではなく変数だけでも実現できる。またパラメータ無しのURLをpage_locationに食わせる必要性が仮に発生したら、UTMなどを「設定フィールド」に別途設定が漏れないように注意
  • オフィシャルヘルプにある「事前定義済みディメンションのパラメータ(ページおよびスクリーンの各ディメンション、取引 ID など)にカスタム ディメンションを登録することはおすすめしません。」は要注意
  • Bigqueryで初めてSQLを書くならオフィシャルCookBookも参照
  • Bigqueryのコスト対策は本書では書かれていないのですが、特に中小企業等でBigqueryを利用する場合には要注意
  • オーディエンスの上限設定、自分の理解ではオーディエンスに一度対象となったら「外れない」ではなく、MAXに設定されると理解しています。あと最大は540日。(ヘルプ)

2022年9月のGoogle Analyticsドキュメント系アップデート

    更新されたドキュメントの中でも、ちょっと個人的に気になったものです。

■Google Analytics

■追記
今回、拡張計測機能におけるフォーム計測機能追加がデフォルトONで追加されるのかもしれませんが、既存のカスタムディメンションで計測している場合はイベントが重複することになりますので注意が必要かもしれません。

また、以前書き忘れましたが英語版の「自動的に収集されるイベント」では page_locationに関して以下の文言が追加されています。
If you override the page_location parameter, make sure that the URL path is valid. If you assign an invalid URL path, the Page location dimension will be empty.

 page_location を上書きしている場合や仮想ページビュー計測を行っている場合は念のため注意してください。