セッションの参照元・メディアは上書きされないが...

 既に議論され尽くした話かもしれませんが、今までに人からこんな事を聞かれたことがあります。

Q. utm_sourceを付けたリンクを1セッション中に複数回踏んだ場合、過去の流入経路データはオーバーライドされるのか?

それに対して、こう答えていました

A. GA4は全て「イベント」で計測されていると何度言えば...。session_start イベントに紐づく流入経路が集計されるよ。

以前からデータでも確認しておこうと思っていたものの、全然していなかったので今回は実際のデータを見ながら検証してみようと思います。

■アクセスステップと結果の分析

今回は単純なパターンですがトラッキング用にutm_source / utm_medium / utm_campaignを付与して2回アクセスを行います


1回目のアクセスは utmのパラメータで chrome_test1 と付けたものです。2回目のアクセスは utmパラメータで chrome_test2 と付けたものです。

※今回のテストではデフォルトチャネルグループがUnassigedとなります。特に何も考えずテストしていました。すみません。

■Google Analytics > ライフサイクル > 集客 > トラフィック獲得

実際の「トラフィック獲得」ページを閲覧すると、想定通り「セッションの参照元 / メディア」には chrome_test1 しか表示されていません。

chrome_test2 はどうなってしまったのでしょうか?

■Bigqueryのデータを見てみる

Bigqueryから分かりやすいカラムだけ取り出したものが以下になります。


event_nameが session_start と page_view の2つに対して page_view イベントとして、ちゃんと chrome_test2 が入っている事がわかります。

このデータであればブラウザのGoogle Analytics画面で chrome_test2 を確認する方法はあるかもしれない...と思ったのですが、やはり「セッションの」と接頭辞が付いている時点で、イベントが session_start に限定されてしまうようで確認出来ませんでした。

イベントスコープということでアトリビューション側なら確認出来るかもしれないとも思ったのですが、テストアカウントだからか現状確認することはできませんでした。ここはもしかすると可能性があるのかもしれません。

■まとめ

ウェブサイト内でutmを用いたトラッキングを行っている等、アクセス経路を分析するために本来の使い方ではない利用法をしている方はデータの取り扱いに十分な注意をしてください。

仮にブラウザで確認できないutmデータを確認したい、またはブラウザで確認できるutmデータは少なすぎる...などと感じている方は一度Bigquery側のデータをご確認ください。必要であればBigqueryを用いたデータ分析に切り替える必要が出てくるかもしれません。

ウェブサイト内でutmを利用していなくても同一セッション内でユーザが色々とアクセスすることで同様のアクセスケースが出てくる事も十分考えられます。セッションの参照元やメディアの計測および集計の仕方が現状で問題ないかどうかは再確認したほうが良いかもしれません。

【非推奨】多くの管理サイトをクロスドメイン設定してキーイベントを計測したい!

※ これは根本対策になっていません。ただの個人の感想です

という注意書きをしつつ。ただの落書きとして...😂

真摯さんのブログ「Googleアナリティクスのクロスドメイントラッキングは、あなたが期待しているものとは違うかもしれない」に関し、cidがオーバーライドされるため結論は賛同しますが、途中の説明は賛同しかねると思っておりました(内容修正される予定のようです)

幅広くクロスドメイン設定すると意図せずcidが更新されて同一ユーザにも関わらず別ユーザとして計測されることで数値が滅茶苦茶になりますし、Googleも昔、注意喚起されていたように思うんですよね(記憶違いかもですが😐

ただし!それでも「管理している多くのサイトでGAのタグを入れてクロスドメイントラッキングしたいよ~😣」という場合、Cookie名を変更するという暴挙が可能です。

■cookie名を変更し、Aサイト -> Bサイトへ遷移

やりたいことは、こういうことでしょ?ということで。下のキャプチャはクロスドメイントラッキング設定した状態のAサイトとBサイトがあり、Aサイト ⇒ Bサイトへ遷移した時のcookieとそのvalueをキャプチャしたものです。(上がAサイト、下がBサイト)

今回の設定

今回は単純化して以下の設定だけとしました。

  • Aサイト: cookie名を変更したGA4ストリームIDのタグのみ埋め込み
  • Bサイト: cookie名を変更したGA4ストリームIDのタグとデフォルト設定のGA4ストリームIDのタグの2つを埋め込み

※デフォルトのcookie名は「_ga」

※変更後のcookie名は「tracker_ga」

要するに...Aサイトでは tracker_ga cookieのみでトラッキングし、Bサイトでは _ga および tracker_ga の2cookieでトラッキングしている状態です。(破線は今回実装なし)

■設定方法

GA4の構成にはcookie_prefixというものが存在します。これを活用することでデフォルトのcookie名を変更することが可能です。

■なぜ非推奨?

一言で言うならば管理が煩雑になるからです。

  1. cookie名を変更したプロパティ側で表示されるユーザ数は正しくないため、_ga側のプロパティでユーザ数を取得する必要がある
  2. cookie名を変更したプロパティ側ではセッションキーイベントの計測程度にしか使えない(?)
  3. 別名のcookieを複数生やした時にどうなってしまうのか分からない...

cookie名を変更したプロパティはブラウザでの閲覧を禁止にしてAPI経由アクセスやLooker Studioでセッションキーイベント確認専用としたいくらいです。

ドキュメントに書いたとしてちゃんと守られるのか...という。

他にも穴があるかもしれません。

■まとめ

本番環境で実際に運用したことはありませんが、"クロスドメイントラッキングの適用は「Webサイトの一部機能が別ドメインで展開している場合」「複数ドメインだが実質的に一体化した運用のWebサイト」に留まった方がよい"という結論に完全に同意しております。

この投稿は各方面からマサカリが飛んできそうな内容ですし、恐らくこういう使い方が想定された機能ではないと思います。また有料版のサブプロパティやrollupに関しては触れたことがないので分かりません。兎にも角にも「これはヒドイ」というコメントをお待ちしております😫

2024年3月のGoogle Analyticsドキュメント系アップデート

 先月更新されたドキュメントの中でも、ちょっと個人的に気になったものです。

3月はConversions -> Key eventsの変更と広告周りに大きく手が入っていますが、日本語ドキュメントはどれも未変更で恐らく4月中にはアップデートされると思われます。

■Google Analytics

■Google Tag Platform
■Google Webmaster tools / 検索セントラル