ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図 (アスキー新書)
ソーシャルという言葉がFacebookやTwitter、Google+など様々なソーシャルメディアとともに重要視されていることは言うまでもないのですが、一方でそのソーシャルを利用したPRや実施するキャンペーンを行う人は旧態依然と全く変わっていないという日本の現状に対し、強烈なインパクトを与える本だと思います。
世界的PR会社が導入するソーシャルインフルエンスの発揮プロセスとして紹介されているのが、以下です。
1. EXPOSURE(露出)
2. ENGAGEMENT(関与)
3. INFLUENCE(影響)
4. ACTION(行動)
それぞれのプロセスにおいて測定可能な指標を用意することになりますが、それぞれのプロセスについてPESO、つまりPaid、Earned、Shared、Ownedを掛けあわせて考えます。
Paid:企業にとって第三者に所属し、購入可能なあらゆるコンテンツ
Earned:企業にとって第三者であるマスコミやブロガーなどに影響を与えて生成してもらうコンテンツ
Shared:消費者がコントロールする、ソーシャル・ネットワーク
Owned:企業がコントロールできる、主にウェブ上のプロパティ
この考え方は日本でも適用され始めているようですが、まだまだ従来のPR手法にとらわれている人にとってはテレビや雑誌、各種広告などによるEXPOSUREで留まっていたり、「いいね!」が押された数やリツイート数のみを指標として追っていたりする人たちの割合が大きいと思われます。
そういったメディアアングルプランニングではなく、コンテクストプランニングがいかに重要かが本書内で述べられているわけです。
そこで重要なのが「自分ゴト」「他人ゴト」という考え方です。
また、インフルエンスという部分に着目した場合は「自分ゴト」「仲間ゴト」「世の中ゴト」という概念が重要です。
自分ゴトとは世の中にあふれる大量の情報の中で、「自分のための情報(商品)である」と感じるもの。仲間ゴトとは仲間なら誰でも知っている状態のこと。世の中ゴトとは誰と話しても多くの人が興味関心を持っている状態の事を示します。
単純に自分ゴトの場合でも関与が強い場合と、弱い場合では人の行動は大きく異なります。
本書を読んでいて一つ感じたのは、インターネットそのものが「自分ゴト」、つまり自分の興味関心ゴトばかり見るようなメディアであり、ソーシャルメディアでもTwitterやGoogle+のコミュニティといった、緩い集まりの場合は「自分ゴト」となる、その話題に対して高関与な人の集まりが形成されやすいのではないかと言うことです。
もちろんそのコミュニティ等で全員を網羅しているわけではなく、そして興味が無いと思っている人でも「自分ゴト」化することが出来る事を考えれば、それを意識したコンテンツをEXPOSUREしていくとして企画する必要が出てくるわけですが、ソーシャルインフルエンスを生み出す土壌・環境は現在、結構整えられているのではないかと思った次第です。
ソーシャルの中でインフルエンスを持つ人と会話をし、仲良くなることでお互いに深く知り合い、強制することなく自然とEXPOSUREする。そんな流れを作り出すことが出来れば、よりリーチする人数が増えるでしょう。
ユーザーを「コンテンツ」や「メディア」という概念で捉えるのではなく、再度「消費者」「顧客」として捉え、エンゲージメントの定義を再度捉え直し、コンテクストプランニングというものを考えさせられる。そんな良書でした。
ソーシャルインフルエンス 戦略PR×ソーシャルメディアの設計図 (アスキー新書)
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