【読了】MITメディアラボ 魔法のイノベーション・パワー

MITメディアラボ 魔法のイノベーション・パワー

昨年、伊藤穣一氏が所長となり一気に有名になったMITメディアラボですが、副所長や現建物設計者が日本人など日本とも関係も深く、「シティカー」など知っている方も少なくないのではないでしょうか?




メディアラボで最も印象深かったのは「反学問的」スタイルです。即ち、専門分野を持たないもので、建築家がプログラミングをしていたりするのですが、これは「問題を別の角度から考える」事が今最も重要視されていると認識し、専門家では思いつかない、問題解決に対し道具・知識・人すべてを総動員しようとする姿勢をあらわしています。

また、メディアラボの強みとしてスポンサー・システムがあります。それは、「メディアラボのスポンサ
ーは、資金提供という形で研究を支援する見返りに、メディアラボで開発された知的財産に対して無制限の権利を得ることができる。しかし、通常のスポンサー・システムとは異なり、スポンサー企業がメディアラボの研究内容を強制することはない」というもので、それによりスポンサーの目に怯えることなく、自由な発想で研究にいそしむ環境が出来上がっているのです。

その副産物としてスポンサーに年2回デモを見せなければならず、「デモオアダイ」という思想とともに、自分で様々な機材を用いてモノを作る能力が身につきます。
最初にこの「デモオアダイ」を見た時は、「Shut the fuck up and write some code」という言葉に似たものを感じとりました。

本書ではメディアラボでの数十のプロジェクトから、世の中に少なからずのインパクトを与えている技術について、完成までの経緯やバックグラウンドなどが事細かに記載されています。

それはロボットの情動コンピューティング(アフェクティブ・コンピューティング)も含まれますが、この分野をはじめメディアラボは未来を探求し、未来に生きているなと感じます。





このネクシーも感情表現だけでなく、社会交流も行うことができます。自然な言語処理が可能なロボットが爆発的に普及する「キラー・アプリケーション」は健康と福祉ではないかと本書では書かれていますが、生活スタイルや慢性病予防などのサポートとしてのロボットという位置づけが確立すれば、ロボットが爆発的に世の中に普及するのではないかというものです。

「自由」、「独立」、「独創」。この今求められている事が本当に実現されているなと思える本でした。

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