【読了】代表的日本人

代表的日本人 (岩波文庫)

本書は内村鑑三の名著です。5人の著名人を挙げ、特に「徳」というものについて書かれた本であるように思います。また、これは日本文化、価値観を海外へ紹介した本ですが、日本人である自分が見ても中江藤樹など、一部の人物については知らない、または思想・考えを知りませんでした。

西郷隆盛の「義」に対する考え方も素晴らしいのですが、「徳」について「徳に励むものには、財は求めなくても生じる。」と述べます。つまり生き方次第で盛衰、貧富、興亡、生死が決まるのです。これを「生財」と題した書に記しています。

5人各人で徳を語り、徳に励み日本に定着させていく様子は、江戸末期から明治にかけての激動の時代にとってとても重要な概念だと内村鑑三自体は思い選定されたと思うのですが、この5人を見ていて思うのは徳を重んじた人物が政府や藩主等、世の地位の高い人物に採用されることで広まる土壌が作られたという点のようにも思います。

もちろん各々が徳を口で語るだけでなく結果を残しているということもありますが、一見奇異な思想を持った人と捉えられてもおかしくはない人物・思想だと思います。そのような人物に一定の地位を与え、思想を広めること、そして二宮尊徳あたりを見ているとキリスト教とも似た思想を強く持っていると感じるのですが、その思想に力を持たせた事は当時の権力者にとっても勇気ある行動であったのではないかと感じます。

本書を読むことで自分を見つめなおすきっかけとなり、とても有益だと思います。

代表的日本人 (岩波文庫)
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