「現場で使える Googleタグマネージャー実践入門」はGTMをこれから導入される方向け入門書

新しく発売された新刊「現場で使える Googleタグマネージャー実践入門」はGoogle Tag Managerの概要から設定の詳細だけでなく、「逆引き辞典」と表紙に書かれているとおり、実際によく発生しがちな事象に対するGoogle Tag Managerでの設定方法が載っている本です。

本書ではGoogle Tag Managerに関する具体的な説明は全体の3分の1程度となっており、「逆引き」的な内容が多く占めていることもありますが、Google Tag Manager機能としては非常に簡易だということなのでしょう。ただし本書では「テンプレート」を作る部分に関する説明はありません。

Google Tag Managerに関しては、私もかなり自己流となっているのですが本書を通じて"普通こんな感じで設定しているのか"と、ちょっとした気づきがありました。他社・他人の設定環境を見てみたい気持ちがずっとあったんですよね。

本書では複数人で内容を書いているということもあるかもしれませんが、Google Analyticsに関しては基礎知識が必要な内容となっています。またGoogle Analytics 4についてはGoogle Tag Manager上での設定がメインとなっているので理解を深めることは望めないと思います。そちらについては他書にて知識を補完されるのが良いでしょう。

実践例の中にはJavascriptも多数出てきますので、そのまま内容をコピーして利用するか、分かる方は雰囲気をつかむのが良いと思います。 

個人的にGoogle Tag Managerを管理する上で一番大事な点としては「常に修正箇所は1箇所に留める」ように運用することだと思っています。例えばウェブサイトが www.example.com から www.example1.com へサイト移転した時にGoogle Tag Manager上で修正箇所が複数発生すると事故のもとです。常に1箇所だけ直せば全て修正されるような状況を作り出す事に重きをおければ、Google Tag Managerはとても強力で事故の少ない、管理工数も少ない便利ツールとなるでしょう。

2022年5月のGoogle AnalyticsとSearch Consoleドキュメント系アップデート

更新されたドキュメントの中でも、ちょっと個人的に気になったものです。

今月は担当が変わったのか、ヘルプ内の説明が凄く丁寧になったような印象が凄く強いです。

■Google Analytics

  • Custom dimensions and metrics
    • Best Practicesが追加。値が500を超える高基数が発生するカスタムディメンションの作成は避ける
    • 最近相談された内容はこれか...
  • Comparing metrics: Google Analytics 4 vs Universal Analytics
    • UAとGA4のセッション数の違いについてサブロパティによる違いの説明が追加
    • GA4ではセッション数が統計的に推定されることがあるっぽい
    • 「Google Analytics 4 properties use a statistical estimate of the number of sessions that occurred on your website or app by estimating the number of unique session IDs.」
  • About sessions
    • 「Differences in session counts」など説明が追加。
    • 以前からレポート間のセッション数の違いが凄く気になっていて、このエラー率2%以内に押さえる計算ロジックが悪さをしているんだろうか...。この仕組のことを「統計的推定」と言っているらしい
  • 正規表現(regex)について
    • デフォルトはUAが部分一致。GA4は完全一致
  • Google 広告とアナリティクスでデータに矛盾がある
    • 「Google 広告とアナリティクスでトラッキング方法が異なる理由」追加
  • Google アナリティクス 4 に切り替える
  • Engagement reports
    • 「User engagement」項目追加
    • データを送信するタイミングと前回のイベントから1秒未満の場合はデータが送信されないなど。
  • Scopes for traffic-source dimensions
    • 「How Analytics attributes credit」項目追加
    • ユーザースコープ、セッションスコープの場合アトリビューションモデルは、cross-channel last-clickモデルだが、イベントスコープはアトリビューション設定に依存。
  • About subproperties
    • 日本語のドキュメントはまだ変更されていなそうですが、「サブプロパティのサービス間のリンク設定」の上限が200 -> 400へ変更
  • 地域でのデータ収集
    • GDPRまわりの変更。IPアドレスはサーバに記録されない
  • Analytics Data API Overview
    • runFunnelReportのアーリープレビュー版追加
  • [新規]Play との統合
    • アプリ提供者はぜひご確認を
  • [新規]ユーザー移行ツール
■検索・Search Console
■Google Tag Manager
  • Google Analytics 4 tags
    • GA4 configulationタグにセットしているパラメータと全く同じ名前のパラメータ名をEventで飛ばした場合、そのイベント発生時の値が上書きされるものの、他のイベントではconfigulationで設定した値が設定される
  • Server-side tagging APIs
    • API追加
      • sendPixelFromBrowser
      • Object
  • Create a Consent Mode template
    • ベータから正式ドキュメントになりました
    • ad_storage や analytics_storage を denied にすることでlocalへの保存やcookieの利用がされませんが、url_paththroughを指定することでURLパラメータをページ間受け渡しなどができる
    • gtagSet : ads_data_redaction , url_passthrough
    • 設定は別ページだと gtag('set', 'url_passthrough', true);
    • 書き方はどちらでも良さそうに見える
  • [新規]Tag Assistant での同意モードのデバッグ