小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密
「未来を予測するもっとも確実な方法はそれを自分で創りだすことだ」
本書では「小さな賭け」、即ち「具体的かつ即座に実行可能な行動によってアイデアを発見し、テストし、発展させていくこと」を繰り返す事の重要性、そして大きな成功をもたらす事を実例を交えて語られています。
ピクサー、Google、Amazon、HP、グラミン銀行、建築家のフランク・ゲーリーなどを中心に、実例が多く散りばめられています。
本書内では「小さな駆け」の原則が最初にまとめられていますが、これは「創造的に生産性を高め、心を自由に解き放つための」方法です。
・実験する(試行:素早く行動、素早く失敗)
・遊ぶ(遊びの雰囲気から出てくる創造的アイディア)
・没頭する(全身で環境に浸り、洞察を得る)
・明確化する(問題の再定義)
・出直す(柔軟性:問題の見直し)
・繰り返す(繰り返しのテスト)
「小さな駆け」という意味では「実験する」事と「繰り返す」事が中心になると思いますし、Amazon等の書評にある通り、タイトルと内容の不一致(乖離)がとても大きいものになると思います。
しかしながら、それ以外でも本書から学ぶものは大きいのではないでしょうか?
「小さく賭ける」という部分では「失敗を予期し、許容できる」事の重要性が挙げられています。そして企業としても、個人としても一つ一つの失敗を許容するために必要なのは「固定的なマインドセット」ではなく「成長志向のマインドセット」だと言います。
どちらが良い悪いという話ではなく、誰しも2つを持っており、その時々の状況によりどちらかが強くなるというものです。
「固定的なマインドセット」では結果・能力を重視した思考で、その結果・能力を他人から褒められる事の次なる行動としては困難に対し諦めたり、他人の成功を脅威と感じ、その結果として自分の成長が頭打ちになることとなります。
一方「成長志向のマインドセット」は、過程・努力を褒められる事の次なる行動としては困難に直面してもくじけにくく、批判から学び、他人の成功から教訓とインスピレーションを得ます。その結果、更に高いレベルの成功を達成することになるのです。
ピクサーは企業として成長志向へと生まれ変わり結果として文字通り企業として成長を遂げることになりました。今のピクサーは「成功は問題を覆い隠す」と考え、常に問題を発見、対応策の議論、対策を実行しています。
またピクサーの「プラシング(プラス+ing)」という姿勢も良い企業風土を作っているようです。butの代わりにandを用いる事です。これにより批判することから方向を変えることにシフトすることになるのです。
本書内ではGoogleのマリッサ・メイヤー氏の言葉が引用されている部分があります。「制約は問題を具体化し、それに集中させることで、克服すべき課題を明確にする」というものです。
これは少しはっとさせられたのですが、多くの場合、「問題」を見つけることに躍起になる事が多いと思いますが、ここでは制約、所謂「フォース」に焦点をあてることで問題へ立ち返るという発想がされています。
本書では小さく賭けるというタイトルに沿った内容だけが語られているわけではありません。問題発見、アイディアの創造のための場の作り方や発想法など、読む人によって得るものが変わってくるのではないかと思いますが、そういう意味で良い本ではないでしょうか。
小さく賭けろ!―世界を変えた人と組織の成功の秘密
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