最近よく感じることは、業種やら分野が異なっていても考え方や目指している目標などは同じだなということです。私自身が現在マーケティング職であるからかもしれませんが、経営的視点というのは非常に重要・・・というか、それがないと全く成り立ちません。逆に先日、ある大企業に勤めるデザイナーさんから経営視点を強要されると困るという話を伺いましたが、それは全く違うと酒の席でしたが反論したりもしました。
とはいえ、その強要されていた経営視点とは一体どのような内容や考え方だったのかを伺ったわけではありませんが(苦笑
今回、本書2ページ目に
「教科書通り」でうまくいかないとしたら、それは理解が不十分で、取り組みが徹底されていないからに違いないと述べられている通り、過去事例から学術的にまとめられた経営に関する名著を何度も読み返す星野社長の姿勢がよくわかる書となっています。
もちろん、一読して"何度も聞いているなぁ"と思う事も少なくありませんが、実践できているのか、取り組みが徹底されているのか、と言われると全く出来ていない・・・と思ってしまうのも確かです。
今回本書を読んでいる最中、ウェブサービスの立ち上げやUIデザイン、サービスデザインに対する考え方に触れる機会が多いということで、以下の3点に凄く興味を引かれました。
- 「真実の瞬間」
- 「予約しやすさ」で他社と差別化する
- 「社員が持つパワーを引き出して業績回復」
1.の「真実の瞬間」に関しては、人が実際のお店で接客する時間は数十秒で、その瞬間の印象、評価で会社全体のイメージが左右されるという意味で、とても重要な概念だと言われているものですが、ウェブサイトにおける「真実の瞬間」とは一体どこなのだろうか、という点で考えさせられました。
ウェブサイトにおける接客は、ウェブサイトの構造そのものなのか?と言われると、そうかもしれないとは思いますが、もう少し細かく見てみると直接的には"サイト内検索"がそれに当たるのかなと思いました。
最初は"ナビゲーション"も「真実の瞬間」ではないのか?と思ったのですが、直感的に分かるナビゲーションというのは、お店の中で使われるトイレなどを示すシンボルなどが該当するわけで、直接的な「接客」とは意味合いが異なると判断しました。
今ではチャットサポートなどでウェブサイトにおける接客というものも多様化しているのかもしれませんが、やはり旧来のもので言えば"サイト内検索"が該当するのかもしれません。
2.に関して言えば、星野リゾートではリアル店舗も絡めた話が書かれていますが、やはりウェブサイト、またはITという大枠の世界の話でEFOという言葉もある通り、重要であることは間違いありません。
3.は社員に「任せる」ことで、社員一人ひとりが自分で考えて動くというものですが、やはり会社の部署という縦割りによって自分事ではなく他人事になりがちで、コンサルティングの会社も発注元の企業の担当者や上司なども呼んで、一緒に取り組んでいくという事例が増えていますが、やはり日本ではまだまだそのような事例は少ないと言えると思います。
こういった内容は、"俗な"と言ってしまうと失礼ですが、啓発本だったり、それぞれの分野で個別に語られているものではあります。しかしながら、ブランドイメージや他社との差別化という経営視点で、もともとは体系化されていたり古くから語られている内容でもあり、WEBが出てきたことにより、その改善に従事する人が増えています。
そういう意味では今まで体系化されていた経営視点がさらに部署ごとに分けられ、一つ一つの項目について、HowそしてWhatの視点で細かくアプローチされているだけなのかもしれません。
WEBの業界でも情報の見せ方やナビゲーションなどが重要であると耳タコに言われ続けいますが、結局のところ「ユーザー本位のサービスを作るとはどういうことなのか」さらに上位化すれば、「人が幸せになるとはどういうことなのか」という事なんですよね。
言い過ぎなのかもしれませんが。
(読書時間 : 2時間)
中沢 康彦
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