【読了】良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

良いウェブサービスを支える「利用規約」の作り方

「ウェブサービスという武器を磨くのと同時に、利用規約という防具も常に新しいものにしなければならない」

サービスを展開する上で準備する必要のある「利用規約」。もちろん「利用規約」で免責事項などを記載していたとしても、その規約自体が法律に照らして違法であるならば、面積とならない事は重々承知していたけれども、具体的に何の法令と照らしあわせて違法になるかなど、細かい部分の知識は全くありませんでした。

本書は細かく業種別に適用される可能性のある法律や過去事例、そして権利義務関係だけでなく「利用規約」や「プライバシーポリシー」、「特定商取引法に基づく表示」の雛形の提示と、その雛形の項目1つ1つの説明まであり、固くない内容に噛み砕かれ、しかも薄めの本にもかかわらず内容の充実と即利用、即見直しという実行動に結びつく構成になっている点は本当に脱帽です。

そして、「当社は、ユーザーが本サービスを利用して生じた損害に関し、一切の責任を負いません」という文章は消費者契約法によって無効にされる条項の代表例として紹介されつつも、「利用規約」それ自体はユーザー対応を簡易化する防具でもあるため、雛形のなかにも一部利用されています。

ECを主体として行なっている企業にとっては、「特定商取引法」が表示を求めている11項目や、通信販売における表示事項のルールがとても参考になるでしょう。表示項目のルールは販売価格や送料などの消費者負担金額を全て表示した場合、代金等の支払い時期などの表示を省略できるか、省略することが出来ないのかが表になったものです。

日本の法律が既存のウェブサービスに追いついていないなどと言って法律を破ってしまうと、最悪事業をたたまなければならなくなったりするわけなので、そのためにもちゃんと適用される可能性のある法律に関しては多少の知識があったほうが良いわけですが、本書の雛形には英語版も付いているので、ぜひ内容を把握した上で活用して、新しいサービスを立ちあげていただきたいと思います。

さて、私は自社の規約でも再度見直しましょうかね・・・w

(以下、自分が知らなかったメモ)
・個人情報収集に関する利用目的として「事業活動に用いるため」や「提供するサービスの向上のため」という書き方では利用目的を具体的に特定できていないと判断されないため不可。

・ウェブで海外向けに動産売買を行う場合「ウィーン売買条約」が適用される可能性がある。

・商標権に関しては、他人が商標登録をする前から使用していた場合、常に他人の商標権に対抗できると思いがちだが、一部を除き、後から他人が取得した商標権に対抗することはできない。

・著作者には「著作者人格権」と「著作財産権」という2種類の権利が自動的に付与される。

・サーバにアップされた著作物を利用規約上無制限・無償で利用できるような書き方をしていた場合でも、あくまで「著作者からライセンスしてもらっている」という立場になる。そのため、そのコンテンツを独占的に利用してビジネスを展開することまでは出来ない。
著作権も譲渡してもらうためには「著作権法第27条及び28条に定める権利を含め」て、無償譲渡を宣言することと、さらに「著作者人格権」に配慮し、著作者人格権の不行使条項を入れる必要がある。

・「利用規約」上では例えば、ユーザー情報の保管、管理に責任を負わないと記載していても、営業資料などで「責任を負う」ような記載があった場合は、利用規約の内容が上書かれる可能性がある。
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