Google Analytics 4でサイト内検索の0件ヒットを計測する方法

 (本投稿は過去に寄稿予定だった文章の供養です。)

はじめに

前回の「Google Analytics4を利用したサイト内検索の計測方法とレポーティング」ではGoogle Analytics 4(GA4)を利用してウェブサイトに設置しているサイト内検索機能についての設定および結果を確認するためのレポーティングについて書きました。

前回のコラムでも書きましたが、サイト内検索では以下のデータを確認することが重要です。

  1. サイト内検索で検索結果が適切に表示されているか
  2. サイト内検索で検索結果に表示するコンテンツがウェブサイト内に存在しているか

サイト内検索で検索結果が0件となった場合や検索結果が適切に表示されていない場合、検索キーワードに関連するコンテンツがウェブサイト内に存在していないこととなります。今回は検索結果が0件であることを、どのようにGA4でトラッキングするかを解説します。

Google Analytics4で検索結果の表示件数を取得する

GA4を利用し、サイト内検索結果の検索ヒット件数を取得しGA4へ連携することで、顧客がサイト内検索を行った結果、検索結果がヒットせずに0件だったキーワードの抽出、およびウェブサイトの改善につなげることができます。

Google Analytics4のカスタムディメンションを設定する

サイト内検索結果で検索ヒット件数を取得する場合、GA4のカスタムディメンションを利用する方法とカスタムメトリクスを利用する方法が考えられます。検索結果に表示されているヒット件数の数字、例えば10件ヒットした場合、「10」という数字だけを取得できる場合はカスタムメトリクスで取得するのが良いかもしれませんし、文字列として「検索結果 0件」や「 10 / 100件」のような検索結果のヒット数を含めた文字列データを取得する場合はカスタムディメンションを用いて取得することになります。

カスタムディメンションを利用する方法とカスタムメトリクスを利用する方法は取得するデータの違いのみで設定方法に関して大きな違いはありません。今回のコラムではカスタムディメンションを利用し「検索結果 0件」という文字列を取得する事を目的として解説します。

カスタムディメンションの作成

最初にGA4でカスタムディメンションを作成します。管理画面から「プロパティ設定」 > 「データの表示」 > 「カスタム定義」を選択します。

「カスタムディメンションを作成」のボタンを押すと設定画面へ遷移するためディメンション名などを設定します。今回は以下のように設定しました。ディメンション名はより分かりやすい名前を付けても良いでしょう。

  • ディメンション名: search_hit
  • 範囲: イベント
  • 説明: サイト内検索の県なs区表示件数を取得する
  • イベントパラメータ: search_hit


次にGoogle Tag Manager(GTM)を利用して設定を行います。GA4による計測でGTMを利用している場合は既にGTMの「タグ」にてGA4の計測タグを「Googleタグ」として設定されていると思います。今回はGoogleタグ設定に対してサイト内検索ヒット件数を追加で取得する設定を行います。

Google Tag Manager設定

検索結果が0件であることを示す文言を取得する

ウェブサイトの検索結果に以下のソースコードで検索結果件数が表示されているとします。検索結果の検索ヒット件数が、運営しているウェブサイトにて実際どのようなソースコードとなっているかを事前に確認してください。

<div id="search_results_count">検索結果 0件</div>

では、早速GTMの設定を行いましょう。

まずは以下のようにユーザー定義変数を利用することで、ウェブサイト内に表示されているサイト内検索ヒット件数を変数として取得します。

  1. ユーザー定義変数を設定する
    1. GTMのメニューから「変数」を選択
    2. 「ユーザー定義変数の設定」の「新規」を選択
    3. 「ページ要素」の中にある「DOM要素」を選択します
  2. DOM要素でidを指定
    1. 「変数のタイプ」で「DOM要素」を選択
    2. 「選択方法」で「CSSセレクタ」を選択
    3. 「要素セレクタ」に「#search_results_count」を入力

今回この変数を「dom-search-results-count」という名称で保存します。変数の付け方は管理のし易い方法を選択いただければと思います。

Google Analytics 4に検索ヒット件数を連携する

GTMでGA4のトラッキングを行っている場合「Googleタグ」が既に設定されていると思いますが、今回はこの「Googleタグ」設定にある「構成パラメータ」へ先程GA4で設定したカスタムディメンション「search_hit」を指定します。値の方も先程作成したユーザー定義変数の名前を指定しましょう。


Google Analytics4の探索レポートでデータを確認する

取得したデータをGA4の探索レポートを利用して確認してみましょう。GA4の探索レポートではディメンションとして「イベント名」「検索キーワード」、それと今回作成したカスタムディメンション「search_hit」を選択します。値は指標にある「イベント数」を選択します。


フィルタとして以下2つを設定します。

  • イベント名: 「次と完全一致」として「view_search_results」を指定する
  • search_hit: 「次と完全一致」として「検索結果 0件」を指定する


このようにすると検索キーワードと検索ヒット件数を横並びに表示し、検索ヒット件数が0件であったキーワードリストをもとにコンテンツの改修や新規コンテンツの追加、新商品の追加やFAQの充実などユーザーへのアプローチを行うことができるでしょう。

(参考)Google Analytics4へGoogle Tag Manager経由で送信するデータをGoogleタグに設定するかイベント設定するか

なぜ今回検索ヒット件数はGoogleタグの「構成パラメータ」を利用するのでしょうか?

データの取得設定で何を利用するかについては、ウェブページのロードとともに読み込むデータはGoogleタグの「構成パラメータ」、ウェブページをロードした後にクリックまたは、ユーザーの何らかのインタラクションにより発生するデータはイベントとして取得するのが良いと考えています。もちろんイベントとして取得することも可能です。

今回の「構成パラメータ」を利用する方法は、設定が簡単である点がメリットなのですが、デメリットとしては「自動収集イベント」や「拡張計測機能イベント」の各種イベントパラメータ全てに設定したデータが入ってくる点です。

すなわちサイト内検索ページではない単純な「session_start」イベントや「page_view」イベント、その他コンバージョンイベントのパラメータにも「search_hit」パラメータが付いてくる点です。もちろんサイト内検索ページでなければ「search_hit」パラメータは空の値になります。

これが先程の探索レポートでイベントに対してフィルタをかけた理由です。

(参考)拡張計測機能イベントを利用せずにサイト内検索データを取得する

「拡張計測機能イベント」を利用せずにGA4イベントとしてサイト内検索データを取得する場合には何点か注意事項があります。

  1. イベント名は「search」が推奨される
  2. 検索キーワードはイベントパラメータとして別途指定する必要がある

1点目のイベント名「search」については「推奨イベント」で指定されているイベント名となります。「拡張計測機能イベント」を利用しない場合は、この推奨イベントを利用しましょう。

2点目は「拡張計測機能イベント」を利用せずにGA4イベントとしてデータを取得するので「拡張計測機能イベント」の「詳細設定」で設定し、取得できる検索キーワードは取得されません。

そこで別途GTMのイベントパラメータで検索キーワードと検索ヒット件数を両方指定してあげる必要があります。


上の例では検索キーワード「search_term」について変数を割り当てていますが、この変数は別途GTMのユーザー定義変数のurlから検索パラメータ「q」のデータを取得する設定としています。


このように設定することで、イベント「search」に対して検索キーワード(search_term)と検索ヒット件数(search_hit)の2パラメータを取得することができます。

まとめ

今回は実際に運営しているウェブサイトにあるサイト内検索機能について、検索ヒット件数が0件である事をGA4にどのようにデータを連携すればよいかを説明しました。GA4ではデータの取得方法が場合によっては複数存在することが難しさの一つなのではないかと考えています。

軽く触れただけで詳細に書いていない部分や高基数についても知っておく必要があるかもしれませんが、まずは基本的な部分を押さえていただくことが重要です。一つ一つの内容については記事を1本ずつ書けるほどのボリューム感が出そうな気も少ししています。

Googleのヘルプは結構充実していますので、そちらを調べながら実装されるのも良いと思います。

UAとの違いやUAで設定していたイベントをGA4へ移行する場合、そのデータをどのように取得するかを事前に考えておきましょう。

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